薪ストーブ始めました ~ ページが長くなったので 設置編/運用編/薪棚 と3分割した
1.はじめに ~ ストーブ選び
「暑さ寒さも彼岸まで」という2019年3月の中旬に薪ストーブ始めました。
なぜかというと家の塗装予定があり、足場を設置するのでそれに合わせてバタバタと薪ストーブ設置を決定。プレミアムフライデーどころかプレミアムエブリデーとなり在宅時間も長くなったので、電気代・灯油代の節約にもなるかなーと。薪は購入することなく所有の雑木林で調達できるのでタダ。切り出しと薪割の労力は必要だが。
薪ストーブは住宅地なので周辺への影響が少ないものできれば日本製にしようとしていて、ネットで検索し「AGNI-CC」に決定。
特徴は
・クリーンバーンとツイン触媒を組み合わせたハイブリッド燃焼システム
・針葉樹も燃やせる・・・今のところ燃やす予定はないが
・分解・組立が可能で保守・点検作業が容易
展示品を見ながら設置についての疑問点等を聞いた。
・ネット情報で重量があるので床の補強が必要とあったが、炉台を設置するので足の「点荷重」でなく「面荷重」となるのでOK。
・壁側の耐火も本体の遮熱板と設置する遮熱板により対処できるとのことでOK。
・一番心配だったのは煙突掃除。二階建てで勾配の急な方へ煙突が出るため煙突掃除が自分でできない。だが、薪ストーブへの接続部分が外れるので室内から可能。また先端金具を小さなものとすればここの掃除もOK。
設置予定場所を見てもらい必要煙突長さ(5m)を確保できることを確認。設置場所から扉取っ手は「左」を選択。
2.設置工事
塗装用足場のあるうちに屋根での作業が終わった。屋根から煙突を下ろしたところ壁から煙突中心まで45cm。このままでは本体が室内側に大きくはみ出すことに。角度管を使用して壁側へ寄せることに。
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AGNI-CC | 30°管で壁側へ | 壁から天板まで20cm |
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炉台前面 空気調整板から25cm | 炉台側面 本体から15cm | 小さなトップ |
3.試し焚き①
「ドラフトがうまくいかないで部屋に煙が充満し、近所から火事だと思われる」、「塗装の焼けるにおいで眠れなくなる」との忠告があり夜の10時過ぎに試し焚きを開始。
まずは、ロストル構造のグレート(すのこ状)が隠れるように灰を入れる。天板を外し、着火剤を煙突側に持っていったら強烈な吸い込みがありドラフトは心配なし。
4.試し焚き② ~ 火を上からつけるか下からつけるか
AGNIの説明書には薪を積み上げて上から着火するように書いてあるがストーブ屋さんのご主人は上から、奥さんは下からと流派がちがう。試し焚きなので薪の量も少ないため下からを選択。窓を開け換気扇を回して待機。200度を超えたあたりで本体から煙が出て塗装の焼けるにおいが。といっても「眠れない」ほどではなかった。300度を超えたあたりで空気を調節し、このまま就寝。三度目の試し焚きではほとんどにおいもなくなった。
5.通常運転
薪の追加は横の扉から入れる。炉台の正面は広いが、横は15cmなので万が一のため防火シートを購入し、横扉開閉時には敷くことにした。正面もあと10cm小さくすれば通行の邪魔にならずよかったかもしれない。
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薪を追加する横の扉 | 防火シート |
娘宅にAndersenの古い薪ストーブがあり、それで少しは慣れていたのだが燃焼状況は全く違う。AGNI-CCが「薪ストーブ」だとすると、古いストーブは「焼却炉(燃えるのは早いがあったまるのは・・・)」。そのくらいの差がある。
着火時にはどうしても煙が出るので、なるべく細い木で早く炎が上がるようにした。10分くらいで火が回り煙がなくなる。
ガラスの汚れは気にならなかったが、試し焚き3回と4時間の通常運転での汚れを確認するため拭いてみた。ガラスの下1/3が部分的に汚れていた。後から送られてきた説明書に350°まで上げるとすすが燃えるとのこと。窓の中央部はなくなったが、左右の下側は燃えずに残った。
運転温度が低いと汚れるとのこと。これからいろいろ試してみよう。
薪の追加時に空気調節レバーは全開にするが薪の状態で煙が出る時がある。そんな時は炊き始めの時のように前面のドアを少し開けておく。火が回り煙が出なくなったら閉じてやる。
延長保証のため㈱岡本へ保証書を送付。安い買い物ではないので、切手を貼った返信用封筒くらい入れて置くのがお客様に対する「サービス」だと思うが。
6.火を上からつけるか下からつけるか~再び
上から着火を試した。100°まで上がるのに30分以上かかった。
利点を挙げると
・煙突側から温めるのでドラフトが弱い場合には有効。
・薪をはじめに多く入れるので薪の追加回数が減る。
我が家の場合ドラフトは問題ないので、早く温度が上がる「下から着火」の方が良いようだ。もちろん薪の追加の手間は増えるが。
7.着火方法 ~ その1
後から送られてきたマニュアル等を参考に自分なりの着火マニュアルを作った。
①初期着火 ~ 下から着火
・灰の中央をくぼませる(前扉を開けるとわかるが中央に空気穴がある)
・空気調整を全開
・薪の皮目を向い合せにして前後に置く
・着火剤を中央へ置き着火
・前後の薪に小さな薪を渡す
・その上に中程度の薪を渡す
・100°までドアを5~10ミリ程度開ける
・200°を超えたら空気調整を半分に
・350°になるまで薪を追加
・350°になったら空気調整を△△~△にし300°前後で巡行運転
②薪の追加 ~ 巡行運転時200°を切ったら
・空気調整を全開
・熾きの上に隙間を空けずになるべくたくさんの薪を並べる
・200°を超えたら空気調整を半分に
・300°になったら空気調整を△△~△にし巡行運転
③熾火が少しの時
・空気調整を全開
・熾火を中央に集める
・前後に着火時のように薪を置く
・中央に着火しやすい小さな薪を置く
・100°までドアを5~10ミリ程度開ける
・200°を超えたら空気調整を半分に
・300°になったら空気調整を△△~△にし巡行運転
8.着火方法 ~ その2 煙の少ない着火 ”キーワードは200°”
煙突から煙がどの程度出ているのか気になってチョクチョク外に出て見ていたが、炉内に煙が出ていれば外にも出ているという当たり前の事実を確認。如何に煙を出さないかを試した結果次のように着火することにした。
・着火剤の上に置く小割の薪を多めに置き早めに炎が立つようにする ~ 5分程度で煙が出なくなる
・始めにおいた薪に十分に火が回り半分熾きになり200°になったところで追加の薪を入れる
・200°を超えてから薪を追加すればほとんど煙が出ない
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薪の間に着火剤 | 着火用の薪 | 着火~炉の上まで薪を積む | 煙が外に出ない範囲で開ける |
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5分後~煙は出ない | 10分後~100° | 20分後~200° | 薪を追加 |
9.使用グッズ
薪ストーブ運用のために購入したグッズ。これから購入を考えているのは熱伝導率の良い銅の鍋と薬缶。
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ホンマ製作所のセット | snowpeakのトングとセリアの箒 | ランドリーバスケット~ニトリで購入 |
10.薪置き場 ← 薪棚 へ移動
11.薪の準備 ~ 玉切りと薪割
薪はシイタケ・ナメコ用ホダ木の残りを利用している。木を切る時期は11月上旬からから2月の上旬まで。11月に切るときは「葉枯らし」・「枝枯らし」といって切り倒してから1か月程度おいておくと水分の抜けるのが早い。また、2月の下旬には木は水を吸い上げ始め水分量が多くなる。薪用の木は何時切ったかで使える時期が決まってくる。
以前は木を有効に使おうと思い枝分かれしてようが構わずに玉切りし、薪割時に苦労していた。最近は枝分かれの個所を10cm程度に切断し、残りがなるべく直線になるように玉切りしている。こうすると薪割の効率がはるかによくなるし、枝分かれの個所はそのまま焚くことができる。
12.薪ストーブの導入を考えている人へ
結論から言うと「時間が自由になり、手間が苦にならない人」で「薪が無料で手に入る人」。
便利さを考えると「灯油・エアコン」に勝るものはない。「男のロマン」で導入すると残念な結果になる。「灯油・エアコン」はスイッチのON・OFFで簡単に運転できるが、「薪ストーブ」は着火に30分程度、その後温度を見ながら薪の追加・空気の調節とコマメな面倒が必要になる。すぐには暖かくならないし、暑いからと言ってすぐ消せない。
薪割も必要で、薪ストーブは「手間がかかる」のです。それに、灯油・電気ストーブのように夏場は仕舞っておくことができない。薪を買う場合は経済的にはペイしない。初期投資に100万円程度の投資が必要だし、年間の薪購入費用を考えたらエアコンの電気代の方がはるかに安い。薪置き場も必要になる。
また、室内に薪を持ち込むのでゴミ・粉(※)が出る。家の新築・改築時に設置すれば問題ないが、我が家のように後から設置した場合、コマメに掃除をしないと奥様の機嫌を損なうことになる。どこかの奥様のように気にしない(掃除もしない)場合は問題ないが。薪ストーブは土間のような所に設置できれば良いのかもしれない。
※樹皮の下数ミリがオレンジの粉になっている。薪割をすると5ミリ位の幼虫が出てくる。正体は「チャイロホソヒラタカミキリ」。木を倒す年数・山へ置いておく期間等で少なくできるとのこと。