青竹蓋置を作る
1.はじめに
知人から青竹蓋置を作ってほしいとの依頼があった。
所持している山林の隣に放置竹林がありここから竹が侵入、毎年処理に手間がかかっている。この竹を頂いて作ることに。
竹は「真竹」で放置竹林のため混んでいて細く蓋置に最適。ということで作成を承諾。
2.寸法を確認
先ずは手持ちの蓋置の寸法を調べた。ついでに「灰吹」・「塵箸」等も調べる。
竹の種類は「真竹」でこれを「逆竹」に使うのが約束。寸法がにばらつきがあるのは本来茶釜の蓋に合せて作るためとのこと。
※真竹 節が2段になっている。ちなみに孟宗竹は節が1段。
※逆竹 竹を逆さまに使う。畳付が竹の上部になる。
ア.蓋 置
高さ:一寸八分(54㎜)が定尺。
風炉 天節 | 炉 中節 | ||||
No | H | φ | H | φ | 節位置 |
① | 5.65 | 5.17 | 5.64 | 5.61 | 1.0~1.3 |
② | 5.65 | 5.12 | 5.56 | 5.53 | 1.5 |
③ | 5.31 | 4.88 | 5.49 | 5.37 | 1.5~1.8 |
イ.灰 吹
No | L | φ | 参考 |
① | 4寸5分(13.5) | 1寸5~6分(4.5) | 正午の茶事 |
② | 4寸~4寸5分 | (4.0) | 一般 |
ウ.塵 箸 ※裏千家は剣先
No | L | 節上 | 厚さ | 参考 |
① | 1尺4寸1分 (43.0) | 4寸9分 (15.0) | 1分 | 正午の茶事 |
② | 1尺~1尺5寸 | 上1:下2 | 1分 | 一般 |
エ.火吹き
茶飯釜で使用する。φ4㎜の穴をあける。当然、節を抜くが内径にあったドリルを使えば簡単。
寸法は φ8分×9寸9分、3寸の箇所に節。
3.作成
ア.竹を採る
寸法を確認したところで竹林から切り出す。使用する一週間位前、2~3年生の竹が良いとのこと。
根元で「ひげ根」が出ているのが理想だがこれだと1本から1個しか作れない。中間でも寸法が合えば良しとしないと。
イ.竹を切る
竹は微妙に曲がっているので置いたときに真直ぐになるように切る。コツは、なるべく新しい「竹用ノコギリ」を使い一気に切る。
「竹切り台」(6項参照)を使用するとブレが防げる。切る箇所にマスキングテープを巻き印を付ける。切るのは節に近い方から。
同じリズムで休まないで最後まで引き切る。こうすると段差なく切ることができる。
皮目が取れないように切ることが大事で、マスキングテープを巻いて切ると皮目がはがれるのを多少防止できる。
動かないように固定 | 反対側を切る | 皮目が残ったら切る |
4.空気抜きの穴をあける
電動ドライバでφ3㎜の穴をあける。市販品は5っの足が出て星のようになっているが機能に差はない。
三つ星、五つ星等の穴をあけるのも面白い。
5.その後の青竹
そのまま置いておけば自然に乾燥するが、竹が縮みシワシワになってしまう。そのため「油抜き」をする必要がある。
ネット情報で「炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)」で煮るというのが出ていたので探したところ近所のドラッグストアに置いてあった。蒟蒻を作るときに使用するようだ。
沸騰したお湯に1~2%炭酸ナトリウムをいれ、表面の青色が取れるまで10~20分程度煮れば完了。蓋置のような小さなものは手軽にできる油抜きの方法だ。
入れた直後 | 20分後 ・・ お湯が濁っている | 炭酸ナトリウム |
茶道具として販売されている蓋置(No②) | 左 油抜きをしないで自然乾燥させたもの 右 油抜きをして半年ほどたったもの |
6.竹切り台を作る
谷型の竹受けを作らなくても、間隔を開けて材木を渡しただけで十分使用に耐える。2×4を使えば切るだけなので簡単。
基礎の部分は2×4を27cmにカット。横に渡したのは1×2を45cmに切り、30・40・50㎜の間をあけてビス止め。超簡単。
間隔30㎜は主に灰吹き、40㎜は蓋置、50㎜は花入れを作るときに使用する。