数寄者への道 ~男性のための茶会講座 [基礎知識編]
1.はじめに
「茶会」と聞くと「なんだ、女性の集まりか」と思うでしょうが、どっこい日本文化の集大成で元々「男性」のためのもです。
お茶を知りたいと思ってカルチャーセンター等の茶道教室へ行くと、教えてくれるのはホスト(亭主)側のこと、つまり「お点前」です。お点前を知らなくてもお茶は飲めますし、「茶道(ちゃどう)」は理解できます。
そういう人が昭和の初め頃まではたくさんいました。そのような人を「数寄者」といいます(ここでは、お点前のできる人を一応「茶人」として区別しておきます)。
点前からではなく、日本の文化「茶道」を理解しょうとしたら「茶会」へ行くのが手っ取り早い方法です。ここでは「茶会」へ行くための基礎知識をお教えしますので、「数寄者」への道を歩んでください。
最近、生活人新書(NHK出版)より「茶の湯の不思議」という本が出ました。 遠州茶道宗家家元の小堀宗実さんが初心者にもわかりやすくお茶のあれこれを書いていますので、一度読んでみることをお勧めします。
2.準備するもの
いくら「数寄者」といえど何ももたないで茶会へ行くわけにはいけません。
最低これだけあればなんとななるというものを挙げておきます。
◎扇子
縁の黒いものを買いましょう。竹のものは稽古用ですから「数寄者」には相応しくありません。
当然お茶用のもので、踊り用とか、伽羅で作った匂いの出るものはいけません。
開いて使うことは殆んどありませんので、絵柄にこだわる必要はありません。
◎懐紙
紙の束です。お菓子を取とるときの皿代わりです。
男性用と女性用があります。男性用は大きいので間違わないように購入しましょう。
模様の無い普通の「白いもの」を用意しましょう。
○楊枝
お菓子を切るもので、絶対無くてはならないと言う事はないです。
無いときは手で摘めばいいのですから。ましてや饅頭の時は手で摘まないと。
扇子 懐紙 小さいのは女性用 楊枝 懐紙に挟んでおきます
△白の靴下
これも「数寄者」はどうでもいいことです。きれいである事が大事なことです。
そのため「茶人」は白い靴下を持っていって履き替えるのですが、「数寄者」黒いままのほうがそれらしくていいでしょう。ただ、行く前に履き替えるくらいはしていかないと「におい」で恥ずかしい思いをすることがあるので注意しましょう。
○小茶巾
濃茶(後で説明)の場合に必要になります。
亭主が出してくれる場合もありますが、用意しておくのが「数寄者」です。ウエットティッシュでも代用できますが、お茶屋さんで買っときましょう。
紙小茶巾 使う前に濡らしておく ウェットティッシュタイプの紙小茶巾
右は濡らした紙小茶巾を入れるもの(使用後も)
携行品は以上ですが、その他の注意点をあげておきます。
・整髪料、オーデコロン等香りには気をつけましょう。せっかくのお茶の香りが台無しになってしまいます。
・トイレは先に済ませておきましょう。待ち時間が以外にある場合があります。
・時計、腕輪、指輪の類は外しておきましょう。なにせ、高価な茶碗、棗等に傷でもつけた日には大変ですから。
・携帯は電源を切るか、マナーモードにしておきましょう。
3.座る位置が大問題 ~始めと終わりは役目がある
準備が済んだら、茶席に入りますが、空いてる席に貴方が座ったらえらい目に会います。
たいてい空いているのは上座で正客さんが座る位置です。
正客はお客側の代表としてホスト(通常「席主」「亭主」といい、お茶の先生です)と話をする役目になります。正客によって、その席中の良し悪しが決まってくるのでここに座るのは本当の「数寄者」になってからにしましょう。
お茶の先生がたは勧め上手で、なかなか自分から正客の位置に座ろうとしません。
男性がいるとすぐ正客の席に座らせようとしますので、いかに避けるかが問題になってきます。中間所にさっさと座ってしまって、勧められても「お茶をはじめたばかりで・・」と断りましょう。間違っても「流派が違うので・・」などと言ってはいけません。
かといって、一番最後(「末席」、「お詰め」といいます)にはこれまた戸を開ける、道具を返すなどの役目があるので避けなければなりません。
畳の席の場合は、大体床の前が正客が座る位置になります。
イスの席(デパートなんかで良くある)の場合は、釜に近いほう(向かって右側が多い)になります。
4.濃茶と薄茶 ~「♪一人でぇ飲んんじゃいけぇなぁいぃと」・・というお茶がある
今は普通に抹茶というと一人一碗で飲む「薄茶」ですが、茶会の場合は「濃茶」と「薄茶」がセットになっていることがあります。
「濃茶」は一碗を3~5人で飲みます(ホストから「何人様で・・」と言われます)。ですから、量を考えて飲むことになります。
「濃茶」を知らないで一人で全部飲んでしまったという笑えない話があります。「濃茶」のお茶の量は薄茶の3杯分くらいあるといわれてます?ので、一人で飲めば軽く「薄茶」10杯を飲んだことになります。
5.お辞儀のタイミング
正客だけするお辞儀と、全員でするお辞儀(「総礼」といいます)があります。
タイミングはおいおい覚えるとして、とりあえず皆がするときに一緒にしましょう。ただ、あまり早く頭を上げないように注意しましょう。
6.お菓子はいつ食べる
お菓子にも主菓子(生菓子)と干菓子があります。
濃茶には主菓子、薄茶には干菓子が本来なのですが、薄茶席だけの場合は薄茶に主菓子という場合もあります。
主菓子の場合は1個と決まってますが、干菓子の場合数種類でてくるので、幾つ取るかが問題になります。薄茶はお代わりが出来るので(濃茶のお代わりはありません。念のため)、その為に2種類以上でてくるのです。通常、干菓子器の上でグループ分けされているので、グループ毎に1個を取ることになります。
お茶のお菓子は、「茶飲み話のお茶受け」ではないので、食べるタイミングがあります。これは、お茶を一番おいしく飲むためなので、あるからといってあわてて食べないように。
お菓子は、お茶を飲む前に食べきってしまい、口の中にお菓子の甘味が残っているときにお茶を飲むのです。決して、食いかけで残すことのないようにしましょう。
また、正客がお菓子に手をつけるまではお菓子を食べてはいけません。ちょっと前の徒弟制度の食事のようですが我慢しましょう。
濃茶の場合は、正客が食べてから。薄茶の場合は自分の茶が出てくる直前と思っていれば間違いありません。
7.茶碗はどちらにまわす
「やっとお茶が飲める」と思ってもその前の最後の難関?です。
茶碗をまわしてからお茶を飲むということは世間一般に常識として知られています。しかし、どちらにまわすのか?、なぜまわすのか?、というとよくわからないと思います。
亭主はお茶碗に模様がある場合、模様の一番良い所を正面として出してきます。模様がない場合は形の良い所が正面となります。
もちろん、「数寄者」の貴方はそのまま飲んでも良いのですが、亭主に遠慮して正面を外して飲みます。これが茶碗を回すということですので、1回転して元に戻るほど回してはいけません。回す方向ですが、流派によって違う場合があります。
薄茶でしたら、好きなように飲んでください。ただ、熱いからといって吹いてはいけません。
濃茶でしたら一緒に飲む人数を考えて2口くらい飲みます(すすると言った方が近い)。
飲み口を小茶巾(準備の項参照)で拭いて、次の人へまわします。たまたまそのお茶碗の最後にあたったら、覚悟を決め残さずに飲みます。
最後となると、水分が蒸発してなかなかお茶のカタマリが下りて来ないので、顔の前で茶碗を傾けたままにしておくことになります。
また、「吸いきり」といって最後は音を出しすことが必要です。ある茶席で、上手に音を出して濃茶を飲んでいた「数寄者」の人がいてあこがれてしまいました。
「基礎知識編」はこのくらいにしてい「実践編」へと思っていてもう10数年・・・